銀行は、決算書のどこを見ているのか
決算が終わると、取引のある銀行に決算書を届ける会社が多いと思います。ただ、渡したあと銀行の中で何が確かめられているのかは、あまり知られていません。
当社の2名は、銀行で13年と17年働いてきました。そのうち1名は、17年間、融資の仕事に携わってきました。その経験から、決算書を受け取ったときに先に目が向きやすいところを5つにまとめます。銀行や担当者によって見方は違いますので、ひとつの目安としてお読みください。
1. 会社の「体力」が残っているか(純資産)
最初に見られやすいのは、貸借対照表の右下にある「純資産」です。資産から借入などの負債を引いた残りで、会社の体力にあたります。
ここがマイナス(債務超過)になっていると、銀行の中での評価は厳しくなりやすくなります。また、帳簿の数字そのままではなく、回収の見込みが薄い資産などを除いた「実態」で見直されることもあります(4.で触れる科目が、その対象になりやすいところです)。
一方で、社長からの借入は、金融機関によっては資本に近いものとして見られることがあります。その事情を説明できるように整えておくことが大切です。
2. 借入を返していける力があるか
次に、借入を毎年きちんと返していける力があるかが見られます。
目安としてよく使われるのが、「今の利益のペースで、借入を返し終えるのに何年かかるか」という考え方です。借入から手元の預金を差し引いた額を、税引後の利益に減価償却費(お金の出ていかない費用)を足した額で割って、年数を出す見方があります。
年数が長いほど、返済の力に余裕がないと受け取られやすくなります。
3. 借りたお金が、何に使われたか
借入が増えている場合は、そのお金が何に使われたかが確かめられます。
設備を買ったのか、仕入れや人件費の支払いに使ったのか、赤字の穴埋めだったのか。使い道によって、次の融資の話の進み方が変わりえます。前回の借入のときに説明した使い道と、実際の決算書の動きが合っているかも見られます。
4. 中身の分かりにくい科目がないか
貸借対照表の中に、中身の分かりにくい科目が大きく残っていないかも見られます。
- 仮払金:使い道や金額がまだ決まっていない支払い
- 立替金:役員や取引先などの代わりに払い、まだ返してもらっていないお金
- 役員や関係会社への貸付金
- 長く回収できていない売掛金や、動いていない在庫
こうした科目が大きいと、決算書に書かれた資産が、実際にはお金として戻ってこないのではないかと見られることがあります。金額が大きいものは、内訳と理由を説明できるようにしておくと安心です。
5. 去年と比べて、何が変わったか
最後に、前の期と比べて大きく動いた数字が見られます。売上が大きく下がった、借入が増えた、利益が出たのに預金が減った、といった変化です。
変化そのものが悪いわけではありません。ただ、理由が分からないままだと、銀行は慎重になりやすくなります。
決算書を出す前に、できること
決算書は、出し方ひとつで受け取られ方が変わりえます。出す前に、次の2つを準備しておくことをおすすめします。
- 上の5つについて、大きく動いた数字の理由を、社長の言葉で一言ずつ書いておく
- 今期の見通し(売上・利益・借入の予定)を、1枚にまとめて一緒に渡す
数字の良し悪しだけでなく、「社長が自社の数字をつかんでいるか」も、銀行が見ているところのひとつです。
外から一緒に準備するという方法
決算書を出すときに慌てないためには、毎月の数字と見通しを、ふだんからそろえておくことが近道です。当社は、財務のアウトソーシングとして、その準備を月ごとの定例で外から支えています。融資の可否や条件を決めるのは銀行ですが、準備の質を高めるお手伝いはできます。
決算書や申告書の作成は、これまでどおり顧問税理士の先生のお仕事です。当社は、その数字を使って、銀行との対話を支えます。
お手元の決算書をお持ちいただければ、上の5つの観点で一緒に確認します。整理されていない状態のままで構いません。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
財務の担当がいない会社で起きやすいことは、こちらの記事にまとめています。
HT・MIRAIZ