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黒字なのに、お金が残らないのはなぜか

コラム2026年10月19日 株式会社HT・MIRAIZ

「今期は利益が出たと言われたのに、通帳の残高はむしろ減っている」。経営者の方から、こうした声を聞くことがあります。

利益とお金の残高は、似ているようで別のものです。この記事では、その差がどこから生まれやすいのかと、毎月の数字から見分ける方法を整理します。

利益とお金は、数え方が違う

決算書や試算表の利益は、「売上が立った月」「費用が発生した月」で数えます。一方、通帳の残高は「お金が実際に動いた日」で変わります。

さらに、お金は出ていくのに費用にはならない支払いや、その逆もあります。このずれが重なると、利益が出ていても手元のお金が増えない、ということが起きます。

お金が残りにくくなる、5つの理由

1. 売上の入金が後になる(売掛金)

商品を納めたり、サービスを提供したりした時点で売上は立ちますが、入金は翌月や翌々月になることがあります。まだ受け取っていない売上の代金を「売掛金」といいます。

売上が伸びている時期ほど、売掛金がふくらみ、お金の入りが後ろにずれやすくなります。売上が増えているのに残高が苦しい、という状態は、ここから生まれることがあります。

2. 仕入れた商品や材料が、まだ売れていない(在庫)

仕入れの代金は先に払っても、売れるまでは費用になりません。売れ残った分は「在庫」として資産に残ります。

在庫が増えると、利益は変わらなくても、お金は在庫の分だけ出ていったままになります。

3. 借入の返済は、費用にならない

毎月の借入の返済のうち、利息は費用になりますが、借りたお金そのもの(元金)の返済は費用になりません。

そのため、元金の返済は、主に税金を払った後の利益と減価償却費(4.で触れる、お金の出ていかない費用)の中から払うことになります。この合計より元金の返済のほうが大きいと、黒字でもお金は減っていきやすくなります。

4. 設備の代金は一度に出ていき、費用は少しずつ

機械や車両などを買うと、代金はまとめて出ていきます。一方で、費用としては何年かに分けて計上されます。これを「減価償却」といいます。

設備を買った年は、利益に比べてお金が大きく減りやすく、その後の年は逆に、利益よりお金が残りやすくなります。

5. まとめて出ていく支払いがある

賞与や、決算のあとに納める税金などは、毎月少しずつではなく、特定の月にまとめて出ていきます。

毎月の利益を見ているだけだと、こうした月の支払いに備えられていないことがあります。いつ・いくら出ていくかは、顧問税理士の先生や社内の担当の方と早めに確かめておくと安心です。

毎月の数字から見分ける方法

どの理由でお金が残っていないのかは、毎月の試算表と通帳から、ある程度見分けられます。

試算表の「貸借対照表」を前の月と比べる

試算表には、利益を表す「損益計算書」と、会社の持ち物と借りているものを表す「貸借対照表」があります。お金のずれを探すときは、貸借対照表を前の月と並べて、次の科目の増減を見ます。

もう一歩進めるなら

慣れてきたら、「利益」と「預金の増減」を、月ごとに次のように1枚に並べてみます。

  1. その月の利益に、減価償却費(お金の出ていかない費用)を足す
  2. 売掛金と在庫が増えた分を引き、減った分を足す
  3. 仕入先などへの支払いを待ってもらっている分(買掛金・未払金)が増えた分を足し、減った分を引く
  4. 借入の元金の返済と、設備の支払いを引く。新しく借りた分は足す

ここで出た数字と、通帳の残高の増減を比べます。税金や賞与の支払い、その他の科目の動きもあるため、ぴったりとは合わないことがあります。それでも、「お金がどこに消えたのか」のおおよその見当はつけやすくなります。ご自身で並べるのが難しければ、ここは外部の専門家と一緒に見てもよいところです。

見分けられると、打てる手が変わる

理由が分かると、考える手も変わります。

どれも、お金が足りなくなってからでは選べる手が少なくなります。早めに気づくほど、落ち着いて考えやすくなります。

借入を返していける力を銀行がどう見ているか(借入を返し終えるまでの年数という考え方)は、こちらの記事で紹介しています。

数字の「読み解き」を、外から支える

試算表は届いていても、利益とお金のずれまで毎月読み解く時間はとれない。そんな会社もあります。

当社は、財務のアウトソーシングとして、月ごとの定例で試算表と通帳を一緒に見て、お金の動きの理由を確かめています。決算書や申告書の作成は、これまでどおり顧問税理士の先生のお仕事です。当社は、その数字を使って、この先のお金の見通しを一緒に考えます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

これから3か月ほどのお金の出入りを1枚の表にまとめ、毎月続けるための工夫はこちらの記事で紹介しています。

この記事は、一般的な情報の提供を目的としたものです。個別の会社の状況に当てはまるとは限りません。融資の可否や条件は金融機関が決定します。税務・労務・法律に関する個別のご判断は、税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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